これは2025/9/23に開催されたTOKYO KEYBOARD EXPOの個人出展参加レポートです。展示側目線多め
※写真撮る暇なかったので文字ばっかです。あと長い
TOKYO KEYBOARD EXPO (トーキョーキーボードエキスポ、TKX) とは

50を超える国内外のキーボードメーカーが一堂に会する日本最大級のPCキーボード展示・販売イベントです。自作キーボード好きならお馴染み遊舎工房とzFrontierの共同主催です。
日本では天下一キーボードわいわい会やキーボードマーケットトーキョーなど同人系のキーボードイベントが大きな盛り上がりを見せていますが、商業メーカーが大規模に集まるイベントはTKXが国内初ではないでしょうか。
そして今回そんな記念碑的イベントの個人作家枠にお誘いいただくという貴重な機会をいただきまして、出展者側として参加してきたというわけです。
お誘いいただいたときは「ようわからんけどキーケットみたいな感じかな、面白そ~」と深く考えずに即答でOKしたのですが、蓋を開けてみると個人枠はわずか8枠、みな完成度の高いプロダクトで有名な錚々たるメンバーでした。

出典: https://x.com/yushakobo_shop/status/1957744122112143742
ここに混ざっていいのか・・?とビビり散らかしましたが、まあむしろ周りがこれだけ有名な方々なら自分は埋もれて目立たんやろ、と開き直って楽しむことにしました。
準備
販売は任意とのことでしたが、やはり多くの人に見てもらえる機会ですし販売もしたい、ということで旧作Henge40と新作neigeを持っていくことにしました。
実はお声がけいただいたのが開催1か月半前くらいだったのですが、ちょうどそのころは工場でneige基板の量産真っ只中であり、諸々考慮するとTKXには間に合わないことが判明、急遽別業者で簡易版を追加製造し、一部部品を手ハンダすることでなんとか若干数準備できたのでした。ハンダ付け、1枚くらいなら楽しめますが何枚ともなるとさすがに辛いですね・・。
ちなみのこのとき工場で量産してた基板は自分の発注ミスで緑色になってしまい製品に使えず、別途DIY版として格安放出したのでした。ケース無しの玄人仕様でしたが爆速で売れてびっくりです。
ケースまで自作してた玄人の皆様もいらっしゃったようでただただ感謝です。基板寸法図しか公開してないのにすごい。
開幕大混雑、途切れない人の流れ
アキバUDXに到着。出展者入場時間にもなっていないのに、すでに一般参加者の待機列が形成されていてビビる。これ後でわかるんですがほぼmoNa2/roBa狙いの人たちだったんですよね。
会場着いた。一般入場の人もう50人くらい並んでてすごい。なんか限定品あるんやろか
— ymkn(やまけん) (@ymkn_gbf) September 22, 2025
その列を尻目に関係者口から早めに入場させてもらえてサクッと設営。会場は結構ゆとりある配置で余裕を感じました。荷物をたくさん広げても隣とぶつかることもなく。大変快適でした。
設営できた〜、D-12 1u猫キー屋お待ちしてます〜 #tkx25 pic.twitter.com/6BPuCO2TRS
— ymkn(やまけん) (@ymkn_gbf) September 23, 2025
開場して一瞬でmoNa2/roBa狙いの列が形成。大人気の話は聞いていましたが本当にすごい。
ただ会場入り口から出口付近のmoNa2/roBaブースまで待機列が伸びてしまっており、私も含め周辺のブースへのアクセスが不能な状況に。これにはさすがに辟易しました。おかげで人も来ないのでしばらく待機列を眺めるタイム。次回があるなら運営さんには大人気サークルの配置場所をご配慮いただきたいところ・・。
全てを売り切ったのか、しばらくすると行列が解消されて人が流動的になり、私のブースにもボチボチと人がやってきたのでした。そこからはもう人が途絶えることはなく、休む間もなく閉会までずっとお客さんとお話させていただきました。ハチャメチャに疲れましたがそれ以上に喜びがありました。本当にありがとうございます。
客層としてはキーケットとは若干違って、一般層(=非キーボードオタク)が多めな印象でしたね。秋葉原という立地、商業メーカー中心、販売オンリーではない、というところで、少し興味があるくらいでも気軽に参加できたのがよかったのかもしれません。
neige好感触
無謀にもワンオペで臨んだために、とにかく忙しくてブース対応中の細かい記憶がほとんど無いのですが、全体を通して持ち込んだいずれのキーボードにも興味を持っていただけたようで、持ったり眺めたり試打したり説明を読んだり質問をいただいたりと、作者としては喜び、感謝の気持ちでいっぱいでした。
その中でも特にneigeは好感触でしたね。やはり3行30%という(一般には)ほとんど見かけない大きさの第一印象が良かったようで。かわいい、小さい、これヤバい、どう使うの、スペースどこ、これ無理でしょwwなどの声をいただき、多くの驚きを与えられていたようです。
立てて置いておいたキーマップ表を見ながら試打されている方が多く、30%の使い方をイメージアップするのに役立っていたように思います。本当はmassさんのところのように試打用のアプリを用意したかったのですが、ちょっと間に合いませんでしたね。
キーボード & ポインティングデバイス入力状態の可視化ツール
— mass (@mass_0X00) September 13, 2025
を作りました。#TKX25 の入力テストはこれを使えたらと考えています。 pic.twitter.com/RJXpYKDeN8
あとHenge40は今年3月のキーケット2025に出した旧作だったのですが、こちらも反応を多くいただけて嬉しかったです。値段設定や傷のこともあり少々振るわず悩ましかったのですが、刺さる人には刺さったようで、心惹かれていた様子に嬉しくなりました。めっちゃ値下げしたので傷とか気にしない人、ぜひ。
ついでとばかりにYM60JISも並べておいたので、普通の60%、ゴツくてギラギラした40%のHenge、薄くて軽くかわいい30%のneige、と対比になっていたのも、後から思えば効果的だったかもしれません。
サークル名とロゴ、案外アリだった
当サークル名「1u猫キー屋」とそのロゴは分かりやすさ覚えやすさ最重視で決めたもので、正直製品との関係性も哲学も特にないわけですが、TKXのように初見さんが多いイベントでは大変有効に働いていましたね。特に女性と子供に受けが良かったように記憶しています。

今回はサークルロゴを旗のようにして高く吊るしていたのもあって、結構見つけやすかったんじゃないでしょうか。なんか語呂も悪いし1uって何やねん*1とかありますが、とにかくあの猫のところ、と覚えていてくれさえすればOKなわけで。
TKXでは日本語名のサークルがウチだけだったのでそこで圧倒的に目立てたのも良かったですね。

あとたまたまですがneigeに装着していたnSAのキーキャップに猫の印字があって、これ欲しい!と言われてしまいました。たまたまだったんですが。作るか、ノベルティとして・・。

オシャレサークルに囲まれて、もっと煮詰めたサークル名とロゴにすればよかったかなと少し後悔していたところでしたが、狙い通りの働きをしてくれたので、まあこれはこれでアリか・・と思いなおせました。飽きるまではこのブランドで行きます。
自作キーボードの今後
TKXにて日本のキーボードシーンを目の当たりにして海外キーボードメーカーさんはそれなりに商機を感じたと思いますし、今回大人気だった分割トラボスタイルの製品が近々投入されるであろうことは想像に難くありません。
ニッチと思われていた領域にも企業が入ってくると、もはや個人の自作キーボード開発者が単独で大きな収益を上げるような展開は難しくなってくるかと思います。今後はNapeのように企業と共同開発するなど、何らかの形で強い資本とコラボレーションする事例が増えてくるでしょう。
Keychron × ギズモードが世界初の共同開発!
— ギズモード・ジャパン(公式) (@gizmodojapan) September 25, 2025
新型トラックボールデバイス「Nape Pro(仮)」を発表します。
今日から開催の「東京ゲームショウ2025」Keychronブースで試作イメージを初お披露目!
続く↓ pic.twitter.com/AwxItlqJVG
このような企業資本の流入や同人開発者の商業化の流れを見て、(古き良き個人同人の)自作キーボードというシーンが終わりに向かっていくのでは?と危惧する声もちらほら聞こえますが、私はそんなに心配していません。
確かに分割トラボなど広く需要がありそうなフォーマットは企業勢によって掘りつくされていくのかもしれませんが、それでも細かい違いまで含めればバリエーションなどいくらでも生まれますし、そのような細かい需要やニッチ領域は企業としては手を出しずらいと思います。
実際今回私が展示/頒布したのは、3行しかなくスペースキーもないコンパクトさで横細長い可愛さ重視のneige、反対に無駄に金属たっぷりでデカくて重くて金ピカで存在感のすごいHenge40、とかなりニッチ目のものでしたが、ブースに訪れてくれた人の声を聴くとこのような他にない尖ったコンセプトがむしろ好意的に受け入れられていたように感じました。個人開発者はいままでと変わらず、好きや拘りを突き詰めていけばいいんじゃないかと思いますね。
もちろん、既製品の模倣や軽めの改善じゃダメなのかというとそんなことはなくて、そもそも趣味としての自作キーボードの本質は、作る楽しさ、見てもらえる喜び、使える自己満足などにあると思っていますので、作りたい気持ちがあればじゃんじゃん作っていきましょう。
自作キーボード、機能的要素が強いせいか新機軸じゃないと作る意味薄いかなーとか思うこともあるけど、古来より存在してるペンなどの筆記具は機能変わらないけど新製品が出続けてるし、あんま気にせんと色々作ったらいいじゃんね、と思ったね
— ymkn(やまけん) (@ymkn_gbf) September 18, 2025
私もまだ飽きてはいないので、作り続けようと思います。
おわりに
この記事はneigeで書きました(ね、本当に使ってるでしょ)。
*1:五十音順になった時に先頭になることを狙ってました

