続・自作キーボードのキーの減らしかた(3行30%編)

60%~40%までのキーの減らし方について書いた下記記事の続きとなります。

ymkn.hatenablog.com

この記事で扱う30%キーボード

30%で比較的メジャーなのは、いわゆる「QAZ」と呼ばれる40%からShiftやControlなどの左端の1列を省いたジャンルかと思います。

しかしながらこの記事ではQAZではなく、スペースキーを含む最下段の行を省略した「3行30%」のキーボードを取り扱うことにします*1

30%に取り組む前提

30%や40%のキー数が少ないキーボードではレイヤー機能の活用が必須になります。そのため40%に慣れていれば30%の挑戦も比較的容易ですが、もし60%以上のキーボードしか使った経験がない場合はおそらくレイヤー機能の基本的なテクニックから学ぶことになるでしょう。そのような人はまず前の記事を参考にしてください。

ymkn.hatenablog.com

キー置き換えの考え方

下記のような40%キーボード*2からの移行を考えます。

3行30%は4行目のキーをすべて置き換えなければなりません。すなわち、Windowsキー、Altキー、ImeOff/Onキー、レイヤーキー、そしてスペースキーなどです。それぞれ個別に見ていきましょう。

レイヤーキーをアルファベットキーに割り当てる問題

この40%ではレイヤーキーをスペースキーの左右に割り当て、親指で長押しする想定でした。3行30%でも同様に親指を活用したいところです。ホームポジションに指を置いたとき、ちょうど親指の位置に来るCキーとMキーの長押しをレイヤーキーに割り当てます。

ただし、専用のキーに割り当てることができていた40%と異なり、3行30%ではアルファベットという頻繁に使用するキーへの割り当てであるため、そのままではいくつかの問題が起きてしまいます。

例えば「も」のように「M+母音」を連続で高速に打鍵する場合、Mキーの打鍵がレイヤーキーと判定されてしまい、「お」と打たれてしまうことがあります。このストレスを避けるにはVialのQMK Settings > Tap-HoldHold On Other Key PressをOffにします(デフォルトでOffのはずです)。

※注:以前のバージョンのVialファームウェアではIgnore Mod Tap Interruptという設定名で、Onのときに同等の効果が得られていました。試作版のneigeをお持ちの方はこちらの設定名になっているかと思うので間違えないように注意ください

Altキー、Winキーと長押しの問題

使用頻度が比較的高いAltキーは元々の位置に近いXキーの長押しに割り当てることで、Alt+Tabなど使用頻度の高い入力も違和感なく行えるかと思います。

同様にWinキーもZキーあたりに割り当てたいところですが、これをやると日本語入力で「ザ行」を入力しているときにWin+AやWin+U、Win+Eなどが誤って入力されると非常にストレスになります。そのためWinキーは日本語入力で使わないQキーに割り当てています。

ImeOff/Onとダブルタップの問題

40%ではImeOff/Onキーをレイヤーキーの短押しに割り当てていました。しかし3行30%ではレイヤーキーの短押しはそのままCキーとMキーとするほかありません。

なるべく40%のときと使用感を合わせるためにCキーやMキーの2回押しに割り当てることを考えましたが、アルファベットキーに2回押しを割り当てると「communication」や「occur」などCやMが連続で登場する単語を打つ際にうまくいきません。

したがってここは妥協し、ImeOff/Onのトグルキーである漢字キーをCキーレイヤー側に割り当てました。C+TabやC+Spaceの組み合わせは、昔からのIme切り替えキーである「Alt+漢字」や「Ctrl+スペース」に近い操作感です。

悪くはないんですが、個人的にImeOffとOnは独立させたいのでもう少しいい方法が無いか探索中です。

2025/9/26追記:

やはりトグルが気に入らないので、Fn1+TabでImeOff、Fn2+TabでImeOnとなるように変更しました。これなら無変換/変換キーを備えるキーボードを使うときの操作感に近いのでより適切に思っています。しばらくこれで暮らしてみます。

2025/12/12追記:

どうもコンボとデュアルロールキーの相性が悪いようです。

今はFn1レイヤーのMキーにFn3を割り当てて、Fn3レイヤーをファンクションキーレイヤーにしています。C+Mのコンボと似たような操作感(わずかにCの方を先に押す)で実現できるので良さげです。

どうにもできなかったスペースキー

そして肝心要のスペースキー、これも40%までの慣習に従って親指で押せるようにしたかったのですが、レイヤーキーや修飾キーと違ってスペースは短押しで入力できないと困るために、Vキーなど近い位置のアルファベットキーに割りあてることができません。

Vキーは位置的にはベストですが、Vもまた使用頻度の高いキーであるために、スペースを割り当ててしまうとアルファベット入力が苦痛になってしまうんですよね。

なので短押しが空いているキー、すなわちCtrlもしくはShiftに割り当てるほかありません。Shiftは非常に押しにくい位置にあるため、最終的にはCtrlキーの短押しにスペースキーを割り当てました。

小指という扱いづらい指ではあるものの、ホームポジション隣であり押しやすい位置なのが救いですね。初めは無理があるかと思っていましたが、慣れれば特に困らなくなりました。

使いどころが難しかったコンボ機能

コンボは異なる2キーの同時押しに別のキーを割り当てる機能ですが、誤爆が思ったより多かったので私には使いこなせませんでした。あと単純に押し下げに必要な力が2倍なので重たいですね。

2025/9/26追記:

エクスプローラExcelで頻繁に使うF2キーがどうしても必要になり、Fn1+Fn2のコンボでFキーを定義した3レイヤー目に移動するようにしました(下図の緑字)。両手を使うならば同時押しの重さは気になりませんのでいい感じです。

長押しを割り当てるべきでないキー

文字入力やショートカット入力においてキーを長押しする機会は少ないため普段は困りませんが、ゲームなどではWASDやスペースキーの長押しが必要なケースがあります。これらのキーに長押しの機能を割り当ててしまうと思った操作ができなくなり困ります。

WASDは割り当てを避ければいいのですが、スペースは長押しがCtrlになっているためここだけどうにもなりません。

そのためスペース長押しが必要なゲームをするときは、それを考慮したゲーム専用レイヤーに切り替えています。

WASDは開けておく前提で、Ctrlの位置をSpaceのみに割り当て直している

おわりに

3行30%は親指を活用しにくい点から正直なところ効率的とは言えない配列かもしれません。しかしながらコンパクトかつ横長のフォルムはそれを補って余りあるほどの魅力があると私は思っています。慣れれば案外普通に使えるもんです。皆さんもぜひ試してみてください。

この記事は現在販売準備中の3行30%キーボードneige(ネージュ)で書きました。

ymkn.booth.pm

*1:私がいま設計している新しいキーボードが3行30%だからです

*2:これは拙作Henge40です